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岡山地方裁判所 昭和31年(行)8号 判決 1960年3月01日

岡山市磨屋町百三十七番地

原告

井上おとみ

右訴訟代理人弁護士

豊田秀男

岡山市弓之町

被告

岡山税務署長

徳永正憲

右指定代理人

西本寿喜

加藤宏

米沢久雄

田原広

笠行文三郎

森田政治

常本一三

夜船津都夫

右当事者間の昭和三一年(行)第八号審査決定変更請求事件について当裁判所は次のとおり判決する。

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は被告が原告の昭和二十九年度所得について、昭和三十年九月二十七日なした更正決定を取消す。訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求め、

その請求の原因として、

一、原告は理髪用機械器具及び化粧品の仕入販売を営業としているものである。

二、原告は昭和三十年七月被告に対し昭和二九年度の所得は金八十五万九千五百円と確定申告をしたところ、被告は昭和三十年九月二十七日右所得を金百十二万二千円と更正し、その頃原告に通知した。そこで原告は右更正を不服として昭和三十年十月二十七日被告に再調査の請求をしたが、昭和三十一年一月七日これを棄却されたので、更に同月十三日広島国税局長に対し審査の請求をしたところ、同局長は同年三月二十七日右請求を棄却する旨の決定をし、同月二十九日原告に通知した。

三、しかしながら原告の昭和二十九年度所得は別紙(一)明細表記載のとおり金八十五万九千五百円に過ぎないから原告は昭和三十年九月二十七日被告がなした更正決定の取消を求めるため本訴に及んだものである。

と陳述し、

なお昭和二十九年度に要した原告の営業経費は別表(二)明細記載のとおり、金六十二万二千二百三十二円であるが、これは所得額より控除すべきものであり、また原告が被告に対し確定申告をした際、被告は右金額を認めていたものである。

と述べ、

被告主張の事実に対し

一、被告の第一の二の、(1)の主張事実について、甲第一ないし第十号証による原告の仕入額の計算関係を争う。

二、被告の第一の二、の(2)の主張事実について、原告は被告主張のように脱漏したことがない。

三、被告の第一の三、の主張事実について原告が広島国税局管内における他の同業者に比較してその経営状態は上位に属すること、必要経費である雇人賃金が金二十三万九千円であり、地代額が金七千八百円であることはいずれも認める。

四、被告の第二の主張事実について、これを争う。

とそれぞれ述べ、

立証として甲第一ないし第八号証、第九号証の一、二、第十ないし第五十三号証を提出し、証人吉岡一太郎、同井上太郎の各尋問を求め、乙第一号証の一ないし四が昭和二十九年分商工庶業所得標準率表であることは認める。爾余の乙号各証はいずれも成立を認めると述べた。

被告指定代理人は主文同旨の判決を求め、答弁として原告主張の事実のうち原告がその主張のような営業をしていること、その主張のとおり昭和二十九年度の所得に関してなした所得税の確定申告に対し、被告から更正処分がなされたこと、これに対し原告のなした再調査の請求が棄却せられ、更に原告のなした審査請求につき、広島国税局長が右請求を棄却する旨の決定をなした間の経過事実がすべて原告主張のとおりであることは、これを認めるが、原告の所得金額は争うと述べ、なお原告がその主張のように金六十二万二千二百三十二円を必要経費として申告したことは認めるが、被告が右金額を必要経費と認めたとの主張事実は否認する。原告主張の経費は給料手当金二十三万九千円を除いてすべて通常の経費であるので、所得標準率を適用して所得額を決定する場合には、所得金額から控除さるべきものでない、と答え、更に

第一、被告が更正決定後調査した結果によると、原告の昭和二十九年度における真実の所得金額は次のように更正額金百十二万二千円を上廻る金百三十二万五千五百八十五円であることが判明したので、右の真実の所得金額を下廻る金額で行つた更正処分を取消す事由はない。

右金百三十二万五千五百八十五円算出の詳細は次のとおりである。

一、右所得の算定方法

税務官庁が課税処分を行う場合は個々の納税署について具体的に収支計算を行うことによつてその所得金額を算定するのが原則であることはいうまでもないが、正確な収支計算を行うためには整備された課税資料の存在を前提とする。しかしながら納税者のうちには右課税資料すなわち帳簿記録その他の書類を全く保管していないものとか、または保管していてもその記帳等が不完全であるため収支計算によつてその所得金額を算定することができないものが決して少くない。かような納税者について税務官庁は最も合理的な計算方法によつてこれらの資料の欠如した納税者の所得を把握推計することもやむを得ないところであり、この推計課税の適法であることは所得税法第四十五条第三項において認められているところである。

そして所得標準率を具体的な事例に適用することも右の適法な推計方法であり、右所得標準率とは広島国税局管内の各地域にわたり各営業種目毎に同業種目を営むもののうちその業態が中庸と認められるものを調査対象者に選定し、実額調査(実地に調査を行い帳簿資料に基いて所得金額を計算する調査)により収集した所得に関する調査資料を更に局において検討し、不純資料を除外して中庸と認められるものの所得計算の結果に基いてよるべき基準として算定した数額をいうのである。

これを細説すると、特種な収入を算入しない収入金または売上金(従つて特別の雜収入、例えば各種の組合から受ける特別利益の分配金、容器等を販売先から回収してその容器等を酒類卸業者等に販売する場合の販売代金と回収代金との差額等の特種な収入は算入しないのであつて、これらは所得標準率を適用して算出した所得金額に別途加算する)を「基本金額」とし、これから製造業者にあつては「基本金額」に対応する製造原価、物販業においては「基本金額」に対応する仕入原価を控除し、更に基本金額算出期間中事業に要した一般管理費および販売費(事業の経営規模の状況によつて異なる特殊な経費は算入しない経費であり、給料、減価償却地代家賃、通行税、入場税、遊興飲食税および電気ガス税、借入金利子、貸倒金等の特殊な経費は算入しない。これらの特殊な経費は所得標準率を適用して算出した所得金額から別途に控除するか、その控除の範囲は事業上必要と認められる部分に限られる。)を控除して、標準となる所得金額を算出したうえ「基本金額」に対する右所得金額の割合を算出し、これを所得標準率とするのである。そして各事業経営の規模において異にする特別の収入金、経費についてはその各の特殊事情を加味して、各事業経営規模に応じ適正な所得金額を算出するために、所得標準率で算出した所得金額に対して、特別収入を加算し、特別経費を控除して所得金額を算出することになつているのである。ところで原告が本件所得を明確にするために所持していた帳簿及び書類としてはわずかに仕入商品のうち買掛仕入と売掛金の一部の状況を明らかにする程度の書類があつただけで、右の資料のみをもつてしては原告の所得を正確に算出することができないので被告は所得標準率により原告の所得を算出した。

二、原告の仕入金額は金千八十二万五千五百八十五円である。

すなわち、

(1)  被告が原告提出の甲第一ないし第十号証に基いて原告の仕入額を計算したところ、別紙(三)及び(六)各明細表記載のとおり理髪用機械器具について金七百八十九万百七十円、化粧品については金百二十七万二千三百九円、合計金九百十六万二千四百七十九円である。

(2)  原告は右(1)に記載したほか、次のように仕入額合計金百六十六万三千百六円を脱漏している。すなわち被告が昭和二十九年四月一日から同月十五日まで、同年六月一日から同月三十日まで、同年七月十六日から同月三十一日まで、同年九月一日から同月三十日まで、同年十月一日から同月三十日までの以上四ケ月間にわたり原告の仕入額を調査したところ、原告はその主張の仕入先以外から仕入をし、右期間中別紙(四)明細表記載のとおり理髪用機械器具については金三十三万六千五百八十五円、化粧品については金十一万八千八百円の各仕入額を脱漏していることが判明した。そして右の脱漏金額を甲第一ないし第十号証のうち右の四ケ月の期間中の純仕入金額に比較するとその脱漏割合は別紙(五)の(1)明細表記載のとおり理髪用機械器具について一割三分一厘、化粧品について二割五分三厘となる。そこで甲第一ないし第十号証によつて算出した原告の年間の純仕入金額に右の脱漏割合を乗じると別紙(五)の(2)明細表記載のとおり、

(イ) 理髪用機械器具については金百三万三千六百十二円となり、これに純然たる別個の脱漏額である乙第五十号証記載の金五万三千六百円を加えると合計金百八万七千二百十二円となり、

(ロ) 化粧品については金三十二万千八百九十四円となりこれに純然たる別個の脱漏額である乙第二号証記載の金二十五万四千円を加えると、合計金五十七万五千八百九十四円となり、

結局理髪用機械器具、化粧品について年間を通じ右(1)(2)の総合計金百六十六万三千百六円を脱漏しているものというべきである。

以上のとおり原告の昭和二十九年度における真実の仕入金額は別紙(六)明細表記載のとおり甲第一ないし第十号証による仕入額金九百十六万二千四百七十九円に前記脱漏額金百六十六万三千百六円を併せると、合計金千八十二万五千五百八十五円となるものである。

三、次に原告は広島国税局管内における他の同業者に比較して、その経営状態が上位に属するので、原告の右仕入金額に対しそれぞれ所得標準率を適用すると、原告の総所得金額は別紙(七)明細表記載のとおり金百五十七万二千三百八十五円となるので、右金額から経費である(イ)雇人費金二十三万九千円、(ロ)地代金七千八百円を控除すると、その純所得金額は金百三十二万五千五百八十五円である。

第二、仮に原告の真実の所得金額が以上のとおり金百三十二万五千五百八十五円であることが認められないとしても、別紙(ハ)明細表記載のとおり、

(1)  甲第一ないし第十号証によつて算出した純仕入金額九百十六万二千四百七十九円

(2)  前記第一の二の(2)に記載した四ケ月間における脱漏仕入額金三十三万六千五百八十五円に乙第五十号証記載の脱漏仕入額金五万三千六百円を加えた計金三十九万百八十五円、右期間中における化粧品の脱漏仕入額金十一万八千八百円に、乙第二号証記載の脱漏仕入額金二十五万四千円を加えた計金三十七万二千八百円

右(1)(2)の合計仕入金額に対しそれぞれ被告主張の前記所得標準率を適用すると、原告の総所得金額は金百四十万二千八十四円となるので、右金額から経費である(イ)雇人費金二十三万九千円、(ロ)地代金七千八百円を控除するとその純所得金額は金百十五万五千二百八十四円である。そうするとこの場合においても右金額は更正決定による所得金額を上廻るので右決定を取消す理由がない。

とそれぞれ述べ、

立証として乙第一号証の一ないし四、第二ないし第五十四号証第五十五号証の一、二、第五十六ないし第六十八号証、第六十九号証の一、二第七十号証の一ないし三、第七十一号証の一、二、第七十二号証を提出し、証人頼定聡、同高木茂の各尋問を求め、甲第一ないし第十号証は原本の存在及びその成立を認め、同第十一号証は成立を認める。爾余の甲号各証の成立は知らないと述べた。

理由

原告が理髪用機械器具の仕入販売を営業としているものであること、原告が昭和三十年七月被告に対し昭和二十九年度の所得について金八十五万九千五百円と確定申告をしたところ、被告は昭和三十年九月二十七日右所得を金百十二万二千円と更正し、その頃原告に通知したこと、原告が右更正を不服として昭和三十年十月二十七日再調査の請求をしたが、昭和三十一年一月七日これを棄却されたので、更に同月十三日広島国税局長に対し審査の請求をしたところ、同局長は同年三月二十七日右請求を棄却する旨の決定をし、同月二十九日原告に通知したことはいずれも当事者間に争いがない。

原告は昭和二十九年度の所得が金八十五万九千五百円であつてこれと異なる更正決定であるというので、以下この点について判断する。

右当事者間に争いのない事実に証人頼定聡、同高木茂の各証言、弁論の全趣旨を綜合すると、被告が原告の昭和二九年度分の所得について更正処分をなすに際し、当時岡山税務署所得税課に勤務していた大蔵事務官である訴外頼定聡が、右の調査にあたつたこと、原告が広島国税局長に対し審査の請求をしたところ、その調査には広島国税局協議団岡山支部所属協議官である大蔵事務官訴外高木茂があたつたこと、そして頼定聡が昭和三十年九月頃、高木茂が昭和三十一年一月頃それぞれ調査のため原告方を訪れ、原告に対し収支計算を明確にした帳簿書類の提出を求めたところ、その一部を明らかにする程度の買掛帳と売掛帳及びその原紙記録である納品書、請求書綴を提出したのみで、原告はそれ以外の帳簿書類は記帳しこれを備え付けていなかつたこと、原告は右の買掛帳に記載しているほかに一ケ月について約二十万円の現金取引がある旨を話していたのであつて、原告の提出した帳簿書類をもつてしては、具体的に収支計算を行うことが不可能であつた事実が認められ、右認定に反する証拠はない。以上認定のような事情のもとにおいては原告の所得を算出するについて推計の方法によることもまたやむをえないところであり、成立につき争いのない甲第一号証の一ないし四、証人頼定聡、同高木茂の各証言に弁論の全趣旨を綜合すると、被告が本件について右推計の方法として被告主張の第一の一、の方法によつたことが認められるところ、右所得標準率による推計方式は合理的なものであると認められる。

そこで右計算方法による計算の前提となる数額について検討するに、

(1)  原本の存在ならびにその成立に争いのない甲第一ないし第十号証及び弁論の全趣旨を綜合すると、原告の純仕入額は別紙(三)及び(六)各明細表記載のとおり理髪用機械器具については金七百八十九万百七十円、化粧品については金百二十七万二千三百九円合計金九百十六万二千四百七十九円であることが明らかである。

(2)  次に前提甲第一ないし第十号証の各記載と成立に争いのない乙第四ないし第六号証、第十二ないし第十五号証、第十七号証、第十九号証、第二十一ないし第四十九号証の各記載とを対照したうえ、これに証人井上太郎の証言及び弁論の全趣旨を綜合すると、原告は昭和二十九年四月一日から同月十五日まで、同年六月一日から同月三十日まで、同年七月十六日から同月三十一日まで、同年九月一日から同月三十日まで、同年十月一日から同月三十日までの四ケ月間にわたり別紙(四)明細表記載のとおり原告主張の仕入先である訴外大洋商会外九社以外からも仕入をし、理髪用機械器具については金三十三万六千五百八十五円、化粧品については金十一万八千八百円の各仕入額を脱漏していることが認められる。以上の認定に反する証拠はない。そして右の脱漏金額を甲第一ないし第十号証の各仕入金額に関する記載のうち右の四ケ月の期間中の純仕入金額に比較すると、その脱漏割合は別紙(五)の(1)明細表記載のとおり、理髪用機械器具について一割三分一厘、化粧品について二割五分三厘となることは計算上明らかなところである。ところで正確な仕入額は取引に関する帳簿書類が整然と記帳整備されている場合にはじめて可能であるものであるが、本件においては既に認定したとおり売掛帳と買掛帳があるのみで具体的かつ正確に仕入額を算定することができないので、前記甲第一号証ないし第十号証によつて算出された年間の理髪用機械器具の純仕入額および化粧品の仕入額について右の脱漏率を適用し、その各仕入額について年間を通じて右の脱漏割合と同率の仕入額の脱漏があつたものと推計算定することは、他に格別の事由のないかぎり、不合理なものといえないのであり、この推計方式によつて右の年間の仕入額にそれぞれ脱漏割合を乗じると別紙(五)の(2)明細表記載のとおり、

(イ)  理髪用機械器具については金百三万三千六百十二円となりこれに純然たる別個の脱漏額である乙第五十号証記載の金五万三千六百円(訴外前原市蔵からの昭和二十九年度における全仕入額であつて、右は年間の仕入額が判明しているため前記脱漏割合の算出から除外したもの)を加えると合計金百八万七千二百十二円となり、

(ロ)  化粧品については金三十二万千八百九十四円となり、これに純然たる別個の脱漏額である乙第二号証記載の金二十五万四千円(訴外株式会社フケ妙堂からの昭和二十九年度における全仕入額であつて、前記前原市蔵からの分と同様脱漏割合の算出から除外しているもの)を加えると合計金五十七万五千八百九十四円となる。

ことがそれぞれ計数上明らかであつて、結局原告は理髪用機械器具、化粧品について年間を通じ右(1)(2)の合計金百六十六万三千百六円を脱漏しているものというべきである。

以上のとおり原告の昭和二十九年度における真実の仕入額は別紙(六)明細表記載のとおり甲第一ないし第十号証による仕入額金九百十六万二千四百七十九円に前記脱漏額金百六十六万三千百六円を加えた合計金千八十二万五千五百八十五円であることを認め得るが、原告の所得については、前記説示のとおりこれを確認し得べき資料がなく被告の主張する所得標準率を用いてこれを算出するほか、その方法がないものといわなければならない。

そして原告は理髪用機械器具及び化粧品の仕入販売を営業としているものであるが、広島国税局管内における他の同業者に比較してその経営状態が上位に属することは当事者間に争いがなく、所得標準率表であることについて争いのない乙第一号証の一、ないし四及び弁論の全趣旨を綜合すると、広島国税局管内において原告と同種の理髪用機械器具及び化粧品の仕入販売を営業としているもののうち、その業態が中庸と認められるものの所得を計算した結果算定せられた一般的基準となるべき所得標準率によると、一、理髪用機械器具については(イ)卸売による売上額金百円当りの所得額は金八円十銭(所得率〇・〇八一)減価償却額は金十銭(減価償却率〇・〇〇一)であるから、従つて本件のように減価償却額が不明である場合における仕入額金百円当りの所得額は金八円六十九銭(所得率〇〇・八六九)であること、(ロ)小売による売上額金百円当りの所得額は金十五円二十銭(所得率〇・一五二)減価償却額は金二十銭(減価償却率〇・〇〇二)であるから、従つて本件のように減価償却額が不明である場合における仕入額金百円当りの所得額は金十七円六十銭(所得率〇・一七六)であること、二、化粧品については小売による売上額金百円当りの所得額は金十九円二十銭(所得率〇・一九二)減価償却額は金二十銭(減価償却率〇・〇〇二)であるから従つて本件のように減価償却額が不明である場合における仕入額金百円当りの所得額は金二十三円四十五銭(所得率〇・二三四五)であることが認められる。右の認定を覆えすに足りる資料は他に存しない。

次に原告の前記各仕入金額に対しそれぞれ所得標準率を適用すると別紙(七)明細表記載のとおり原告の総所得金額が金百五十七万二千三百八十五円となることは計数上明らかであり、右所得標準率による推計方式に従い、右金額から同方式の適用上特種経費に該当し、かつその金額につき当事者間に争いのない(イ)雇人費金二十三万九千円、(ロ)地代金七千八百円を控除すると、その純所得金額は金百三十二万五千五百八十五円となるものといわなければならない。

そうすると被告が原告の総所得金額を右金百三十二万五千五百八十五円の範囲内である金百十二万二千円と更正した処分には違法がなく、原告の本訴請求は失当として棄却すべきであり、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八十九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 緒方節郎 裁判官 藤村辻夫 裁判官 西内辰樹)

(一) 明細表(利益金)

<省略>

(二) 明細表(経費)

<省略>

(三) 明細表(被告が甲第一ないし第十号証に基いて算出した仕入額)

<省略>

(四) 明細表(仕入額脱漏表)

<省略>

(五) 明細表

<省略>

(六) 明細表(原告の総仕入額)

<省略>

(七) 明細表(原告の所得金額)

<省略>

(八) 明細表

<省略>

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